住宅の壁材になにを使うかは住宅を作る際の悩みどころの1つかと思います。では、実際何を使うのが住みやすい住宅を作るうえで最善なのでしょうか?
住宅において壁はひじょうに重要な部分の1つであると言えます。例えば外壁は周りから常に見える部分で家にどのような印象を与えるか決める要素になりますし、その機能はそのまま住宅自体の機能にも繋がります。
それは住宅内側の壁も同様です。外から見えるわけではありませんが、住んでいる間は常に見続けることになるものであり、色や機能によって今後の住み心地が大きく左右されます。
壁材にどのような材料を使うか、色はどうするかなど壁材選びは今後の住宅への満足度を決める重要な要素と言えるでしょう。
では、住宅に使う壁材としてどのような種類があるのでしょうか?その種類は様々ですが、その中でも代表的なクロス、漆喰、珪藻土、モイストの4種類についてご紹介します。
壁材として最も普及していると言えるのがクロスです。クロスの種類は豊富で最も普及していると言われるのがビニルクロスで、その普及率は9割とも言われています。
その他にも紙クロスや織物クロス、木質系や無機質、オレフィンの壁紙と様々です。その特徴も種類によりさまざまで、例えばビニルクロスはカラーが豊富で、大理石調の模様やプリント柄、エンボス加工など豊富なパターンが揃えられており、織物クロスは破れにくく頑丈で水に濡れても伸びにくいです。
漆喰はその詳細な成分はメーカー毎に異なりますが、基本的には石灰石を原料とし、水や特殊なつなぎ材を使い作った壁材です。
珪藻土は珪藻と呼ばれる藻類の一種である藻を粉末状にし、固めるための材料を加え混ぜることで作ったものです。珪藻自体は単なる土のようなものであり、そのまま塗ることができないことから漆喰や泥、または化学繊維でできた壁材などを混ぜ合わせます。
三菱商事建材が取り扱っている天然素材の壁です。種類としては2種類あり、室内の空気を心地よく安心なものにするMOISS NT内装材と、地震や火災、シロアリに備えることで建物を強く安心なものにするMOISS TM耐力面材があります。
次に各壁材のメリットとデメリットをご紹介します。どの壁材が住宅の壁材としてお勧めなのでしょうか?
クロスのメリットデメリットについては、どのクロスを使うかによって厳密にいうと変わります。
ビニルクロスは低価格で高耐久性、水を通さないことから油汚れも拭くだけで簡単に落とすことができますが、その一方、接着剤に有害物質のホルムアルデヒドが使われており、健康面への影響や焼却で廃棄する際発生するダイオキシンの影響が心配されます。
紙クロスには音の吸収や通気性がありますが、性質上施工が難しく費用が高額になる傾向があります。
さらに撥水性のない紙クロスでは付着した汚れがシミになる危険性もあり、擦れに弱いのでマメにメンテナンスが必要となります。
織物クロスは紙クロスのような通気性に加え湿気の吸収と乾燥時における水分の放出が行えますが、汚れが落としにくく防火性も良くありません。
木質系はおしゃれな雰囲気を演出できますが、他のクロスに比べると高額になる傾向があるので、注意しましょう。
クロスを使う際にはそれぞれの特徴を把握した上で、自分の用途にあったものを使うようにしましょう。
漆喰のメリットとしてまず挙げられるのは消臭効果です。漆喰はpH値が高いアルカリ性で、ニオイの元であるカビや細菌を分解する性質があり、生活臭やカビ臭さ、汗臭さなど住宅内につくさまざまなニオイを少なくし、快適な環境を実現します。
次にホルムアルデヒドを分解する点です。ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因となりますが、漆喰はそのホルムアルデヒドを吸着し、分解することができます。子どもやお年寄り、ペットはホルムアルデヒドに弱い可能性がありシックハウス症候群や、または化学物質過敏症を発症することが考えられますので、漆喰を塗ることでそのリスクを低減することができます。
3つ目として室内の温度と湿度の維持が可能な点が挙げられます。漆喰は湿気を吸い込む性質があることから、室内の空気を乾燥させ湿度を下げることで体感温度を変え冷暖房の効率を上昇させることができます。
また耐久性の高さもメリットと言えます。その耐久年数は100年とも言われ、その耐久性の高さから日本ではお城の城壁にも使われるほどです。クロスより1回の施工は高くなりますが、一方で定期的な張替えは不要で長持ちすることから、長い目で見た際のコストパフォーマンスはクロスより上と言うことができるでしょう。
最期に防災効果です。漆喰は燃えにくい建材であり、建築基準法でも不燃材料として認められています。もし火事になっても火の回りを遅くし、被害を最小限に抑えることができます。
一方でデメリットですが、コストが高い傾向にあること、ひび割れが起こりやすいこと、塗る作業に時間が必要であり、塗り終わった後も乾かす時間が必要であることがあります。ただ、コストについては先のメリットに書いた耐久性の観点から、長い目で見ればコストパフォーマンスは悪くありません。ひび割れについては、各業者でひび割れが起こりにくいような施工を日々開発していますので、相談してみましょう。
珪藻土の特徴は漆喰とほぼ同じであり、メリットも同様です。ただし、その中でも異なるメリットは吸湿効果が漆喰の1.2倍ほどある点です。そのため、より高い調湿効果を住宅に期待したい場合には珪藻土を使いましょう。
一方でデメリットは漆喰と異なります。デメリットとしては2点あり、カビが発生しやすいことと壁からはがれやすい点が挙げられます。
珪藻土は漆喰と異なり固化材として何を混ぜるかでその性能が大きく変わることになります。各業者でどのような珪藻土を使っているか調べ、自分の住宅に適した珪藻土を扱っている業者を選びましょう。
モイスには高い湿気の吸収性と放出性があります。日本には四季がありますので、モイスを使うことで湿気の高い夏はジメジメを取り除く爽やかな空間に、湿度の低い冬はカラカラな空気に潤いを与え、1年中通して快適に過ごすことができます。
また、漆喰や珪藻土同様ホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着し、低減することでシックハウスの原因を取り除き家族の健康維持につなぐことが可能です。
その他にも消臭性や防カビ性、防音効果を期待でき、昔の家のような心地よさを演出します。さらに壁の強度アップも可能で、モイスを塗ることで地震や台風などの自然災害時において受ける圧力を壁面全体に分散させて、住宅を守ることができます。
その中でもモイスNTには防火性と耐火性があり、不燃材として国土交通大臣認定を受けています。薄いにもかかわらず火に強く、主要な原料が無機質系材料であることから煙や有害物質を発生させません。また、静電気が起こりにくいことから表面にはホコリやチリが付きにくく、きれいな壁を長く保つことができます。
消石灰が含まれていることから、細菌やウイルスは吸着し増殖を抑えることができ、インフルエンザなどの作用を抑えることが可能です。 モイスTMは無機質系材料であることからシロアリが好む栄養分を含まず、特別な防蟻処理なくシロアリ被害を抑えることができます。
クロスを使えばコストを抑えることができますが、健康面への影響が懸念されます。コストはかかりますが、将来的な住みやすさやメンテナンス性を考慮すれば自然素材である漆喰や珪藻土、モイスの方が良いのではと考えられます。